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むぅびぃ・とりっぷ
「TENET テネット」不思議な大ヒットで映画館復活
2020年09月20日
テーマ:テーマ無し
クリストファー・ノーラン監督・映画「TENET テネット」の劇場に行きたいと思わせるポイントがぼくには三点あった。〇 一つはこのCG全盛の時代にCGを使わないで、実写で勝負するという姿勢。〇 二つめは、話が難解で一回見ただけではわからないということ。そのわりには映画評論家は揃って高評価。〇 三つめは、製作費200億円かけて、回収が危ぶまれていたが世界でヒットしている事実。● 奥さんを虐める悪役のロシア人CGを使わない件では、今回ジャンボ機が滑走路の倉庫にぶつかって爆発するシーンを撮る為に、本物の大型旅客機(ボーイング747)を本物の建物にぶつけたという。最初は、「ミニチュアを使って撮り、CGと合成しようという計画だった」とノーラン監督は言う。しかし考え直すきっかけとなったのは、一同がロケハンのためにカリフォルニア州ビクタービルを訪れた際、現地で古い飛行機を多数発見したことだった。 「そこで検討したところ、ミニチュアを作ったり、CGで作ったりするより、実物大の本物の飛行機を買い、実際にカメラで撮るほうがずっと効率が良いってことがわかったんです。だから変な話、衝動買いでした。だけど、実際にやったらとてもうまくいきましたね。特殊効果スーパーバイザーのスコット・フィッシャー、プロダクション・デザイナーのネイサン・クロウリーが、どうすればこの派手なシーンをカメラで撮れるのかを考え出してくれて。大興奮でしたよ。」 しかし、映画を観たかぎりでは、そのジャンボ機の爆発の凄さがぼくにはあまり伝わってこなくて、買うことまでしなくても良かったんでは?と思ってしまった。むしろ、冒頭のオペラハウスでのテロとの闘いの場面のほうが、ぼくには印象に強く残った。何が起こっているのかわからない緊迫感と、音楽がとてもマッチしていてとてもハラハラさせてくれる。 話は難解だというので、事前にネットで簡単な概略を読んでから出かけた。ジョン・デヴィッド・ワシントン(デンゼルの息子)が演ずるこの正義感の強い黒人の主人公は敏腕のCIAエージェントとして働いていたがある組織にヘッドハンティングされ、任務を与えられる。それは第3次世界大戦の勃発を阻止すること。何をどうすれば良いのか、詳しい情報は降りてこない。ただ一言「テネット」という言葉が囁かれる。 でも、ぼくの記憶に強く残ったのは、第3次世界大戦なんてお話のつけたしみたいなもので、サディステックなロシア人の謎の悪人アンドレイ・セイターから彼の奥さんを防ぐという事のほうだ。奥さんを演じたエリザベス・デビッキは、綺麗でしかもスタイルが良くて、8頭身美人の女性だった。 主人公は命をかけて救っているわりには、その女性に愛されるわけでもなく、主人公も特別な感情を持っているわけでもなく案外お互いそこはあっさりしたもので、映画としては物足りない気がした。 物語を難解にさせているのは、過去に戻る現実の中で今を活動する現在の自分が動くということだ。DVDで前回見た場面を探すときに、行き過ぎて場面をバックするときに写る画像の中で、その場面の流れとはべつに普通に現在から未来に時間を巡行する映像が重なっているような感覚で、これはなかなか面白かった。 ● 評論家のみなさん、高評価映画評論家の町山智浩がラジオ番組たまむすびで、映画の費用を回収するにはかかった金額の3倍、はいらなければならないと説明している。 映画が世界でヒットしているのはニュースになっている。現状のニュースを見ると、 新型コロナウイルスの影響で、アメリカでは稼ぎ柱であるロサンゼルスとニューヨークの映画館が依然として閉鎖中だが、先週新たに再開となった地域の劇場では『TENET テネット』は好成績を残した。先週末(9月11日〜9月13日)の全米ボックスオフィスランキングが発表され、『TENET テネット』が興行収入670万ドル(約7億350万円)で2週連続の首位を記録した。興行は海外での方が好調で、世界興収は2億750万ドル(228億円)と200億円の大台を突破している。テネットはコロナ禍の中でも劇場公開にこだわっているとのことで、町山智浩はそこをこのように説明している。「この人の映画は、この『TENET テネット』もそうなんですけども。IMAXというすごい特殊な巨大スクリーンで上映するためのデカいフィルムで撮影する映画を撮る人なんですよ。この人は。もう何十メートルもある巨大スクリーンで見るために作ってるんで。それをちっちゃいパソコンとか家のテレビで見られたら困るっていうことで。「絶対に劇場でしかやらない!」って言ってたんで、なかなか公開できなかったんですよ。」あと、監督のエピソードとしてこのようなことを紹介していた。「このクリストファー・ノーランという人は本を読んだり雑誌を読んだりする時に後ろから読むそうなんですよ。漫画とかも逆から読む。そうすると、結果を先に知って。「どうしてそうなったのか?っていう興味で読んでいくと、全てがミステリーになるから」っていう。」町山智浩はテネットに相当にこだわりがあるようだ。今年の1月にTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演し、宇多丸に「僕が2020年、一番注目しているのはクリストファー・ノーランの新作『TENET テネット』ですよ。」と、述べていた。 一方、映画評論家の前田有一氏は、この映画に関してずいぶん辛口だ。CGを使わないことに関しても、『爆発だのアクションだのといったスペクタクルシーンにおいて、毎度毎度「やはりデジタルなんかより本物、アナログのほうが迫力が上だ」などと、したり顔で語る評論家も結構いい加減なものである。そうした場面は、CGが最も得意とするジャンルである』と書いている。 話が難解でも読み解きたいノーランマニアがリピートして劇場へ押しよせることになるだろうという紹介で、物語に対しても特に評価はしていない。結論として、「『TENET テネット』が合うかどうかは『インターステラー』(14)や『インセプション』(10)が好きかどうかで決めればよい」と結んでいる。 だから評価としては、50点か60点かな?と思って改めて確認したら70点だった。意外に評価していて、ぼくは「アレ?」と、肩すかしをくらった感じだった。● 映画館の復活ぼくは初日の19日の金曜日に観に行った。ナイトシアターの時間なのに混んでいて驚いた。やはり、マスコミの影響力は凄い。何度もネットニュースや雑誌で大きく取り上げられた映画は、コロナだろうがなんだろうがこんなに映画館に人を動かしてしまう。ひさびさに、映画館に活気が戻った様子を見てとても嬉しい気持ちになった。前に見た邦画「コンフィデンスマンJP プリンセス編」のときの10倍くらい人が入っていた。でも、ぼくとしては、大金をかけて制作した「TENET テネット」より、コンフィデンスマンJPのほうが映画として数倍楽しませてもらえた。テネットでサディステックな夫にいじめられる八頭身美人のエリザベス・デビッキより、最近ちょっと太り気味の長澤まさみのほうが好きで、また観たいと思わせてくれる。 でも「テネット」は、観た後に人に語りたくなる映画だ。ぼくのように観る前に「たぶん自分にとってはハズレなのでなかろうか?」と若干恐れを抱いている人も、そんなに敷居の高い映画ではないし、話のネタになるので観に行く価値があるかもしれない。何より映画館にパワーを復活させる意味でもぜひ劇場に行き新たな映像体験をしてみてください。 あれ?結局ぼくも今まで書いたことの方向を変えて、観に行くことを勧めてしまっているが・・・・・・・・・。
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