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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛物語り 水たまりの中の青空 〜第一部〜 (八) 

2020年09月17日 外部ブログ記事
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 頻繁に進駐軍のジープが富士商会の前に止まり、五平と親しげに話す進駐軍の通訳であるトーマス・カトウ軍曹が目撃された。
たちまちの内に、富士商会で販売される商品がGHQ経由らしいという噂が広まり、盗品じゃないのかという口さがない陰口がピタリと収まった。
一時は官憲の手が入るという情報がまことしやかに流れていたが、商売敵による嫌がらせと言うことですぐに収まった。
 トーマス軍曹は、進駐軍の高官達のオンリーと称された現地妻探しを極秘に命令されていた。
それを五平が請け負い、その見返りとして進駐軍からの物資調達に道が開かれた。
更には、本国に戻る米兵の土産物を一手に販売する権利を得た。

 オンリー探しにあたっては、公然とは出来ない。そこで「メイドさん募集!」と新聞広告を出した。
五平の元には、若い女性が引きも切らず訪れた。
しかし難点の一つに、会話がある。日常の英会話に、通訳を使うわけにはいかない。
ラジオで放送された[英語会話]が人気を博したが、一朝一夕で為るものでもない。
必然、高学歴の女性を選ぶことになった。
しかし高学歴の女性は、プライドが高い。
高官達のおメガネにかない、運良く橋渡しが出来たとしても、また別の問題が起きてくる。
相性と言う厄介な問題が、時として発生する。
三日と持たず、追い出されてしまう女性もいた。
またメイドとして応募したものの、実態がオンリーだと知って、逃げ出す女性もいた。

 街娼婦で済ませる高官も居るが、大半は嫌がる。
体面のこともあるが、何よりも性病という問題がある。
しかし女性たちもおいそれとはそこまで踏み込めない。
たちトラブル処理に走り回る方が、物資調達の交渉よりもはるかに難しくなった。
しかしどう説得するのか、逃げ出した女性を五平が連れ戻してくる。
将校たちにとって、五平の存在価値が必然高くなった。
そしてそのことは、物資調達を有利なものとできた。

 毎晩の晩酌ではカストリを口にしていたが「ウィスキーでも空けましょうや」と言う五平に対し「商売物には手を出せねえよ」と、武蔵は手厳しく答えた。
「五平よ。どう口説いてくるんだ? 後学の為に、教えてくれ」
「何も特別のことはありません。話を聞いてやるだけです。
でね、一緒に泣くんです。真剣に、泣くんです、嘘泣きじゃだめです。
女ってのは、鋭いですよ。女衒を生業にしていたお陰で、女心というものが分かりますからね。
それにね、あたしは社長のように二枚目じゃありませんから。女もね、腹の内を話し易いんです。
一通り話を聞いてやって、泣き疲れた頃に言うんですよ。
『親孝行しなくっちゃな』と。これで、大抵の女は戻ります。
中には居ますがね。情のこわい、通じない女も。
そんな女には、『一年、辛抱しな! 大金が残るぜ』と、言ってやるんです」
「おい、おい。それで良いのか」
「そんなもの、良いんですよ。一年も続けりゃ、もう後はずるずるですよ。
贅沢に慣れた女は、元に戻れません。へへ……」
「そりゃ、そうだろうな」

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