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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛物語り 水たまりの中の青空 〜第一部〜 (七) 

2020年09月16日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 昼どきを過ぎて一時間、富士商会へ訪れる者は相変わらずいない。
バラで売ってくれないかという申し出はあるものの、頑として武蔵は頭を横に振るだけだ。
そしてその武蔵が突然に出かけてしまった。

軒先から店の奥までうず高く積み上げられた商品を恨めしく見つめる事務員ががボソリとつぶやいた。
「どうすんのよ。まだ明日も入るのよね。お金は支払ってあるから良しとしても、問題は場所よね」
 聞き咎めた五平が、いらつき気味に声を荒げた。
「いいんだよ! これから客が来るんだよ。社長がそう言ってたじゃねえか!」

「その通りだよ、五平。品物を並べろ、箱のままでいいから。
もっと、もっとだよ。そろそろ客が来るぞ。度肝を抜いてやれえ!」
「えええ? 今からですかい? また仕舞い込むことになるんじゃ…。」

 半信半疑の五平だったが、クスクスと笑う事務員にバツの悪そうな表情を見せつつも、武蔵が新たに集めてきたミカン箱をさらに道路にせり出して置きその上に並べた。
隣に店を構える金物類を扱っている安西という男が苦笑いしている。
「あんたん所にも少しは客が流れるぜ。内は大口しか扱わねえからよ。チマチマ商売しな」
 武蔵が皮肉を込めて悪態をついた。

「えっ? 来たよ、来たよ。ほんとに、来たよ」
 それぞれ三人に先導されて、どっと人が押し寄せてきた。
五平の素っ頓狂な声に、事務員が店から飛び出してきた。
「大丈夫、大丈夫だよ! 今日なくなっても、明日また入るよ! 明後日も、入るよ!」

 武蔵の勝ち誇った声が、響き渡った。
どこから品物を調達してきたのか、大量の物資を抱え持つ富士商会は、瞬く間に一大勢力となった。

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