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デンマークの民話「トコトコ歩く壺」 

2020年03月25日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



トコトコ歩く壺   (副娘童話集より、デンマークの民話)


むかしむかし、貧乏なお百姓が、町へ牛を売りに行きました。
 少し行くと向こう側から、一頭のヒツジを連れた男がやってきました。
「やあ、ずいぶんと立派なヒツジだね」
「ああ、そうだろう。何ならその牛と、取り替えてやってもいいよ」
 ヒツジを連れた男は冗談で言ったのですが、
「ほんとうかい? ではそうしよう」
と、お百姓は喜んで牛とヒツジを取り替えました。


 また少し行くと、今度はガチョウを連れた男がやってきました。
「やあ、まるまると太って、美味しそうなガチョウだね」
「ああ、そうだろう。何なら、ヒツジと取り替えてあげますよ」
 ガチョウを連れた男も冗談で言ったのですが、
「ほんとうかい? ではそうしよう」
と、お百姓は喜んでヒツジとガチョウを取り替えました。


 そして今度は、つぼを持ったおばあさんがやって来ました。
「やあ、持ちやすそうなつぼを持っているね」
「これかい? 道で拾ったやつだけど、よかったらガチョウと替えてあげようか?」
「ほんとうかい? ではそうしよう」
 こうしてお百姓はガチョウとつぼを取り替えると、つぼを持って家に帰りました。


「ただいま。ほら、なかなか良いつぼだろう。あの牛を色々な物に替えて、このつぼを手に入れたんだよ」
 するとおかみさんは、とても怒って言いました。
「あんたは何て大馬鹿なの! 牛がそんな汚いつぼになるなんて大損じゃないの!」
「そうなのか?」
「当たり前よ!」
「・・・ごめんな」
 怒られたお百姓はすっかりしょげて、つぼをきれいに洗うと棚の上に乗せておきました。


 さて、次の日の夕方。
 不思議な事に棚に乗せてあったつぼが、ぶつぶつとつぶやきだしたのです。
「さあ、そろそろ出かけるか。大金持ちのうそつきじいさんの所へ」
 つぼは一人で動き出すと、トコトコと、おじいさんのお屋敷の台所へ入っていきました。
 お屋敷のコックさんは、つぼを見つけて喜びました。
「これはスープを入れるのに、ちょうどいい大きさだ」
 コックさんは、おいしそうなスープをつぼにそそぎました。
 すると、つぼは、
「さあ、そろそろ帰るか。貧乏な人の所へ」
と、トコトコと、お百姓の所に戻って行きました。


 おいしいスープが入ったつぼがトコトコと帰ってきたので、お百姓とおかみさんは大喜びです。
 二人はつぼのスープを喜んで飲むと、つぼをきれいに洗って棚の上に乗せておきました。


 次の晩、つぼはまたぶつぶつつぶやきました。
「さあ、そろそろ出かけるか。悪い金貸しの所へ」
 つぼがトコトコと金貸しの所へやってくると、金貸しはちょうど金貨を数えている所でした。
「こりゃ、いいつぼだ。金貨を入れるのにぴったりの大きさだ」
 そう言って金貸しは、ありったけの金貨をザラザラとつぼに詰めました。
 すると、つぼは、
「さあ、そろそろ帰るか。貧乏な人の所へ」
と、さっさと金貸しの家を出て、お百姓の所に戻っていきました。
 お百姓は大喜びでお金を取り出すと、またつぼを棚の上に乗せました。


 そしてその次の晩も、つぼはまたぶつぶつつぶやきました。
「さて、もう一度、出かけるか。金貸しの所へ」
 つぼは暗い夜の道をトコトコと歩き出して、金貸しの家に行きました。


 その頃、金貸しはつぼに仕返しをしてやろうと待ちかまえていました。
「よし、またやって来たな。憎らしい泥棒つぼめ」
 金貸しはつぼが家に入ってくると、つぼの中にお金を入れるふりをして牛のフンを投げ込んだのです。
「これでもくらえ!」
 その時、つぼは急に大きくなりました。
 そしてそのはずみに金貸しは、つぼの中に転げ落ちてしまったのです。
「さて、そろそろ出かけるか」
 つぼは金貸しを入れたまま、トコトコと歩き出しました。
「おいこら、どこへ行くんだ」
 金貸しがつぼの底から叫ぶと、つぼは答えました。
「あんたにふさわしい所さ。地獄へ」
 金貸しを入れたつぼは暗い夜道をどこまでもトコトコ歩いていき、二度と帰ってはきませんでした。

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