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パリ講和会議「人種差別撤廃提案」の安倍所信表明演説は、遊就館展示と瓜二つ 

2019年10月28日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



10月4日第二百回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説の「五 おわりに」では、透かしっ屁のような演説で終了しました。
演説原稿のブラックライターは誰だったのでしょうか。
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 「提案の進展を、全米千二百万の有色の人々が注目している。」
 百年前、米国のアフロ・アメリカン紙は、パリ講和会議における日本の提案について、こう記しました。
 一千万人もの戦死者を出した悲惨な戦争を経て、どういう世界を創っていくのか。新しい時代に向けた理想、未来を見据えた新しい原則として、日本は「人種平等」を掲げました。
 世界中に欧米の植民地が広がっていた当時、日本の提案は、各国の強い反対にさらされました。しかし、決して怯むことはなかった。各国の代表団を前に、日本全権代表の牧野伸顕は、毅然として、こう述べました。
 「困難な現状にあることは認識しているが、決して乗り越えられないものではない。」
 日本が掲げた大いなる理想は、世紀を超えて、今、国際人権規約をはじめ国際社会の基本原則となっています。
 今を生きる私たちもまた、令和の新しい時代、その先の未来を見据えながら、この国の目指す形、その理想をしっかりと掲げるべき時です。
 現状に甘んずることなく、未来を見据えながら、教育、働き方、社会保障、我が国の社会システム全般を改革していく。令和の時代の新しい国創りを、皆さん、共に、進めていこうではありませんか。
 その道しるべは、憲法です。令和の時代に、日本がどのような国を目指すのか。その理想を議論すべき場こそ、憲法審査会ではないでしょうか。私たち国会議員が二百回に及ぶその歴史の上に、しっかりと議論していく。皆さん、国民への責任を果たそうではありませんか。
 御清聴ありがとうございました。
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靖國神社・遊就館展示室8「日露戦争」の壁一杯に、「日露戦争から満州事変」の時系列パネルがあります。
「ポーツマス条約」、「ポーツマス条約により日本が受けた権益」、「韓国併合」、「第一次大戦勃発」、「第一次大戦のさなか一九一九年ロシアに革命がおきる」、「一九一一年革命に揺れる中国」、「第一次世界大戦の主な参加国と日本の参戦」、「連合国の要請によりシベリア出兵」、「ヴェルサイユ条約」、「ワシントン会議」、「中国分裂・内線激化」、「リットン調査団」、「国際連盟脱退 昭和八年三月二十七日」
「ヴェルサイユ条約」
ドイツは多くの領土・海外植民地を失い、巨額の賠償金支払い義務を負わされた。また、空軍の保有を禁止され、陸海軍も大幅な軍備制限を受けた。
日本政府
人種差別撤廃提案
日本政府は、パリ講和会議において、国際連盟の規約に人種差別撤廃条項を入れることを要求したが、アメリカと英連邦職の反対により棄却された。
写真説明「パリ講和会議 1919(大正8)年1〜6月 講和会議に出席した各国首脳
1920年 国際連盟成立 米国大統領ウイルソンの提唱により国際連盟成立(米国は議会の反対で不参加)





この展示パネルと、安倍首相の所信表明演説「おわりに」は全く瓜二つのような展開です。
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角川文庫刊『NHK取材班 日本の選択1 理念なき外交「パリ講和会議」』は、大変詳細な分析をしている文献だと思います。


72頁から抜粋
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 日本全権団が謎めいて言う「帝国の利害に顧みた相当の措置」とは何か。
 日本政府の訓令は、次善の策として、次のような行動をあらかじめ指示していたのである。
 日本政府訓令――
「国際連盟の終局の目的は、帝国政府の賛成するところなりといえども、国際間における人種的偏見の、なおいまだ全然除去せられぎる現状に顧み、事実上帝国のため重大なる不利を醸すの恐れなきあたわず。
 国際連盟の組織せらるる場合には、人種的偏見より生ずる帝国の不利を除去せんがため、事情の許す限り、適当なる保障の方法を講ずるに努むべし」――
 つまり、日本政府は国際鷹盟の成立が避けられないならば、人種的偏見に対するなんらかの歯止め措置が必要だと考えたのであった。そしてこの訓令にもとづいて、パリの全権団は「人種差別撤廃条項」の提案に向けて動きだしたのである。
 人種差別撤廃――、それは各国の意表を突く、思いもかけない日本の主張であった。いったい、国際連盟と人種間題とはどのような関係があったのか――。
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著者のNHK解説主幹・柏倉康夫氏は次のように述べています。

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あとがき
 ヨーロッパに特派員として駐在していた頃、痛感させられたことがあります。それは、欧米のジャーナリストや実業界の人たちに比べて、自分がいかに自国の歴史に疎いかということです。とくに現代史について知識が乏しいということでした。
 外国の、少なくとも知識人といわれる人びとは、自分たちの父や母の世代、あるいは祖父母の世代がどういう歴史をくぐり抜けてきたのか、それが自分たちの現在にどんな影響を及ぼしているかを、常に考える姿勢を持っています。そうした経験から、かねがね私たちに直接かかわる昭和という時代を見きわめる番組を作ってみたいと考えていました。それを実現したのが、昭和六十一年三月から放送した「ドキュメント昭和」の九回シリーズです。そしてこのシリーズは同時に九巻の本として、角川書店から刊行されました。今回文庫に収録するにあたって、編集部との話し合いで、タイトルを「日本の選択」と改めたものがそれです。
 番組制作にあたって一番悩み、議論もしたのは、昭和をとり上げる時に、いったいどういう切り口があるか、しかもこれまでになかった視点はなにかという点でした。
 企画を練りはじめて半年ほど経ったある日、イギリスの歴史家E・H・カーの『歴史とはなにか』を読んでいて、「歴史とは、単に過去を記述するものではなく、現在と過去との間の尽きることのない対話なのだ」という趣旨の文章に出会ったとき、目の前が開けました。いま私たちが置かれている状況から振り返ってみて、昭和の歴史はどう見えるか。あるいは昭和という時代がはじまった時に、私たちは幾つも課題を抱えていたのですが、現在につながる課題は何かと考えたのです。答えはすぐ浮かんできました。いわゆる「国際化」です。
(略)
 今年は終戦から五十年目にあたります。現代の日本にとって最大の試練だったあの戦争は、国際化をこころざした「日本の選択」の頓挫にほかなりません。時代のページが、昭和から平成へとめくられても、昭和が始まった時私たちが抱えこんだ課題は、依然として解決を迫っています。
「ドキュメント昭和」全九巻は、刊行当時ジャーナリズムの世界だけではなく、学界でも数々の議論を呼びました。このたびタイトルを新たにして角川文庫に収録される運びとなり、一層多くの読者に読まれる機会を得られるのは大変嬉しいことです。
平成七年二月 NHK解説主幹・柏倉康夫
(傍線は管理人)
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しんぶん赤旗2019年10月16日「文化・学問欄」の木畑洋一氏の論考です。
文字起こしはしんぶん赤旗木畑洋一論考


「人種差別撤廃」を提案した動機は、五大国としての位置を確保するためと、欧米の「黄禍論」、アメリカ西海岸の「日本人排斥運動」があったと考えられます。
日本政府が提唱した「人種」は、奴隷だった黒人を考えていて、併合した「韓国」や21ヶ条要求を押しつけた「中国」は、全く年頭にありませんでした。この思い上がった大国思想が、アジアの盟主としての「大東亜共栄圏」となったのだと考えています。
安倍首相の演説は、「明治150年」を手放しで謳歌し、天皇を元首とする自民党憲法案そのものです。

(了)

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