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吾喰楽家の食卓

幻の圓生襲名(後編) 

2019年06月17日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

鳳楽師の実演を初めて見たのは、国立演芸場へ通い始めて間がない、四年前の五月の事だった。
国立名人会で中入りを勤め、演題は『青菜』だったが、以来、好きな噺家の一人になった。
その年のOB忘年会で、後輩のS君が鳳楽師の落語会を教えてくれ、誘ってくれたのが、「第301回 銀座風流寄席」である。
今月、その『青菜』を口演した。

宴席で、鳳楽師とのお喋りで、その事を話した。
通常、お喋りのテーマは決めていない。
その日の口演の感想から始める事が多いから、今回は例外である。
更に、話したい事があった。
国立演芸場で見た、四代目圓歌襲名披露公演の千穐楽の事だ。

馬風師が、口上で幻の圓生襲名に触れたのである。
圓生の他には噺家の名前は出て来なかったが、落語の好きな人なら、関係者の名前は分かるだろう。
結局、大名跡の襲名は、本人の実力は当然ながら、運に左右されることが多いらしい。
馬風師の口上は、襲名し損なった者に対する好意を感じたので、その旨を鳳楽師に話した。
悪い気がしなかったらしく、「今度、馬風師に会ったら、お礼を言う」との事だった。

銀座の店を出た時は、僅かに雨が残っていた。
地下鉄の南阿佐ヶ谷に着いた時は、雨は上がり、やや強い風が吹いていた。
火照った顔に当たる風が、心地良かった。
楽しかった一日を振り返りながら、生家へ急いだ。

   *****

写真
6月15日(土)の宴席(前菜・牛すじ煮込どんぶり)



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