世界は意外なことだらけ

ソメイヨシノは世にも不思議な花だった 

2018年04月17日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

古代の農村では、桜の開花状況を見ながら田植えを行い、満開の桜の木の下で五穀豊穣を祈りました。田植えの始まりを知らせてくれる大切な木だったわけです。農作業が始まる春になると、農耕を司る山の神、「サ神様」が里へ降り、田の神となって桜の木に宿る。サ神様が里へ降りてくる月を「サツキ」、山から降りてくる道を「サカ」といい、神事として「サ苗」を植えるのは「サ乙女」(五月女)でした。

民俗学者によれば、サクラの「サ」はサ神様のサ、「クラ」は神霊が依り鎮まる座(クラ)のこととのこと。

人々は、田畑の中の桜の木が満開になると、その木に宿る「祠」のサ神様に酒や肴を捧げてから、満開の桜の木の下でサ神様からお降がりをいただき、酒を酌み交わしました。

公家や貴族の「花宴」は、元々は中国由来の梅を愛でるものでしたが、平安時代中期以降、桜を鑑賞しながら歌を詠み、酒を酌み交わすというスタイルへと変わっていきます。雑木林の山桜を鑑賞して歌を詠んでいたのですが、やがて、山桜を庭園に移植して鑑賞するようになります。日本固有の美に目覚めたのかもしれません。

農村の古い民族的な花見に、都市の公家や貴族の宴を取り込んだ花見は、江戸時代が進むと、近世の都市で大衆化していきました。

ところで、ソメイヨシノは江戸時代に作出された品種で、自家不和合性といって、同一品種の花粉によっては受精が行われない性質をもっています。つまり、ソメイヨシノ同士では交配はできず、接ぎ木によってしか、増やすことができません。世に存在するソメイヨシノは、一本の例外もなく、人の手により、接ぎ木によって生み出されたものということです。



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