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平成の虚無僧一路の日記

『虚鐸伝記国字解』の謎  

2017年09月09日 外部ブログ記事
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虚無僧曼荼羅 No.14? 6月号に寄稿
『虚鐸伝記国字解』の謎 
普化宗の由来
普化宗の由来については、江戸時代の末、寛政7年(1795)に京都で出版された
『虚鐸伝記国字解(きょたくでんきこくじかい)』の他、一月寺や京都明暗寺等の
縁起があります。まず『虚鐸伝記国字解』によると。
普化禅師は唐代、鎮州の人。鐸(たく)を振って「明頭来明頭打、暗頭来暗頭打」と
唱えながら市内を巡っていた。ある日、張伯という者が教えを請うたが断られたので、
普化の振る鐸の音を笛で模して吹いた。それでこの笛のことを”虚鐸”という。
その後、張伯より16代の孫の張参が護国寺で学んでいたとき、日本から学心という僧が
やってきた。学心は張参の吹く虚鐸の音に感じ入り、虚鐸を学び帰国し、弟子の寄竹に伝授した。
というものです。ここでは「法燈国師覚心」は「学心」になっています。張伯は普化に
教えを請うたが断られたのですから、普化宗の継承者ではありえませんね。
普化は尺八を吹かなかったので、「普化尺八=虚鐸」の祖はむしろ「張伯」と
いうことになります。全くおかしな内容なのです。
普化の行状を記した書『臨済録』他では、普化が振ったのは「鈴」となっています。
「鐸」とするのは『虚鐸伝記国字解』のみです。また『虚鐸伝記国字解』以前に
「虚鐸」という名称はどこにも出てきません。全くの創り話なのです。
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法燈国師と普化宗は関係なし
『虚鐸伝記国字解』では、「学心は寄竹の他に国佐、理正、法普、宗恕という
四人の(日本人の)居士にも虚鐸を伝えた」と書かれています。
ところが「下総一月寺」や「京都明暗寺」の縁起では、「法燈国師覚心が
帰朝の際、国佐・理正・宝伏、宋恕という(宋人の)四居士が同船してやって来た」と
なっています。つまり法燈国師覚心自身が尺八を学んで帰朝したのではなく、
「普化のような変わり者の四人の居士が同船して日本にやってきた」というのです。
これには『虚鐸伝記国字解』の作者の意図が隠されているようです。
江戸時代を通じて虚無僧の本寺として幕府に認められていたのは、
下総小金(現千葉県松戸市)の一月寺と、青梅の鈴法寺でした。これに対抗して、
京都の明暗寺が強引に興国寺と本寺・末寺の契約を結び、興国寺をバックに
1760年代に「虚無僧の総本山は明暗寺である」と幕府に訴え出ていたのでした。
それで、『虚鐸伝記国字解』は京都明暗寺の主張を後押しするために創られたものと
考えられるのです。「法燈国師学(覚)心自身が張参から普化の禅と虚鐸を学び、
帰国して寄竹の他四人の弟子に伝えた。奇竹は京都明暗寺を開き、四居士の一人
宝伏は同じく法燈門下の金先とともに関東に下り、下総一月寺を起こした」として、
明暗寺も一月寺も法燈国師の門下であると作文したのではないか。
これに対して、一月寺では法燈国師と普化宗との関連をことさらに無視したものと
思われます。そもそも法燈国師覚心が普化宗を学んだとか尺八を吹いたという記録は
正史にはないので、一般に流布されている「法燈国師=普化宗日本開祖説」は
正に虚妄でした。「薦僧(こもそう)」を「虚妄僧(こもそう)と当て字した史料もあります。
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『虚鐸伝記国字解』にはさらに続きがあり、虚鐸は寄竹から塵哉(じんさい)、儀伯、
臨明、虚風へと伝えられ、虚風の弟子が虚無(きょむ)。虚無は実は楠正成の孫「楠正勝」で、
天蓋で顔を隠し、世を忍ぶ姿となって諸国回遊した。世人「何者ぞ」と問うと
「虚無(きょむ)」と答えたので、この門徒が「虚無僧(きょむそう」と呼ばれるように
なったと、虚無僧の由来を述べています。
(『虚鐸伝記国字解』では「虚無僧」を「キョムソウ」とルビがふってあります)。
そして、虚無から儀道、自東、可笑、空来、自空、恵中、一黙、普明、知来へと
継承され、知来の弟子が「頓翁」で、この「頓翁」が『虚鐸伝記』を書き残した
とあります。頓翁は「寛政年中の人」とありますので、江戸時代初期の人ということに
なります。この頓翁が書き残した『虚鐸伝記』が、公家の阿野中納言家に伝えられ、
山本守秀が注釈を加えて世に出したというのです。山本守秀は阿野氏の一族です。
山本守秀は「『虚鐸伝記』には楠正勝のことが詳しく書かれていないのは不満である」として、
別の史料に基づいた「楠正勝」の伝承を『虚鐸伝記国字解』の巻の上にもってきており、
学心のことは「巻の中」に、そして「巻の下」には、「普化禅師」と「法燈国師覚心」に
ついて、尺八関連以外の、むしろ正しい伝承を掲載しているのです。
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