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平成の虚無僧一路の日記

尺八漫談 「モシモシ地獄」 

2017年01月26日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



天職と思っていた尺八から足を洗って、漫談家に転職。
只今、きみまろや落語を聞いて、ネタを集めております。
桂文珍の落語『モシモシ地獄』をアレンジした「今日の漫談」です。
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みなさま、おめでとうございます。何がって? 今日ここにお集りの皆さまは
今まで一度も神に召されたことのない方ばかりでございます。今日まで
生きてこられたのには、大変な苦労もあったことでございましょう。でも
死ぬほどの苦労はされても、命とられるほどの苦労は神様はお与えに
なりません。命尽きるまでは。
さてキリスト教では「自殺は神のみ旨に逆らう行為で悪」とされているそうで、
自殺すると、死後永遠に地獄に墜ちるとか。その名も「モシモシ地獄」。
仕事がつらい。借金地獄。家族とのトラブル。ああもうダメだ。ほとほと
疲れ切って自らの命を断ったあなたには、モシモシ地獄が待ってます。
「あぁやれやれ、娑婆の苦しみから解放されて、地獄で一休み。ゆっくり
休めるか」と思ったら、「モシモシ、モシモシ」の声。「私の苦しみを
聞いてくださいよ」「私の過去を聞いてくださいよ」「モシモシ、モシモシ、
私はね、女房を殺してしまったんですよ。今ではすまなかったと後悔して
ますがね。ま、私の気持ちも聞いてください」と次々と地獄に墜ちた
亡霊が寄ってくる。全然寝かせてもらえない。「もう休ませてくださいよ」
といっても「モシモシ、モシモシ」の声が延々と続く。3日、4日、5日
たち、とうとう発狂。「やめてくれぇ!」と暴れてみたところで、「そうです
みんな、そうなります。大丈夫です。モシモシ、モシモシ」。1か月、半年、
1年、3年。「いったい いつまで続くのだぁ!」。「100年です」。
「あれ、あそこに熊が。地獄には熊も来るのか? 人でも喰ったか、クマった
熊だ。「いえ、あなたの目の周りに隈(くま)が。こうしてダンダン熊に
なっていくんですよ」
永遠に眠らせてもらえない地獄の苦しみにくらべたら、この娑婆はいいじゃ
ありませんか。家に帰れば、布団にはいってグッスリ眠れるのですから。
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