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雑感日記
カワサキの二輪事業と私 そのー20 現役時代の私
2016年10月29日
テーマ:テーマ無し
★『カワサキ二輪事業と私』も何となく書き始めて20回目を迎えた。
果たして、これから先どのように続いていくのか、自分でもよく解らない。
『自分史』として書いているので、その内容は正確でなければならないし、間違いなく正確だと確信しているのである。
そのベースになっているのが63年続いている自分の日記と、会社での自分の資料なのである。
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人の記憶は結構いい加減で、間違っていることも多いのでそのチェックには大いに役立っている。
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会社の資料は入社以来のものをこんな感じで纏められている。
現役時代はまだ自筆で手書きの資料が多いので、それを誰が書いたのかがすぐわかる。
私の自筆で書いているものが殆どで、稟議書など会社の正規の書類は殆どなくて、それに至る基礎段階の資料が多いので今後出来るだけ開示していこうと思っている。
ちなみに、私は結構整理はいい。整理とは『捨てること』で私の資料は机とその横に置いていた2段のファイリングキャビネットに収容できる範囲で余分なものは全部捨てていったのである。みんなすべての資料を残そうとするので資料はあってもどこにあるのか解らなくなってしまうのである。
いつこんな資料を纏めたのかというと、国内担当を辞めて北海道に行くまで、何もしなくてもいい時期が半年間ほどあったので、その時期に当時の理事室で独りで纏めたものである。いま思ってもよく纏めたと思っている。
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★昭和32年(1957)に川崎航空機に入社 財産課に配属された。
そして平成11年(1999)5月末に現役を終えた42年間の記録なのだが、その間二輪事業に携わった期間は、昭和36年(1961)から平成9年(1997)まで36年間だった。残り6年のうち最初の4年間が財産課、最後の2年間が北海道川重建機なのである。
入社当時の川崎航空機は戦後の中断があって再開されたのが昭和27年だから全く若い会社で、資料なども殆ど揃っていないという信じられないような未熟な会社であった。
財産物件の台帳も揃っていないし、社内の自転車には番号も付されていないような状態で、高校卒の女子が部下についてくれて、2年目からは高校男子も入って、入社早々から『管理者』のような立場にあった。工具器具備品と車輌運搬具を任されて、自分の思う通りに動けたのである。明石工場の各課にはそれぞれ財産物件の管理担当者がいて、机でも椅子でも自転車でも『みんな欲しがる』今では考えられないような貧しい時代で、財産課の新人は全工場と繋がって結構面白い仕事だったのである。
ただ工具器具部品などの償却計算を当時はタイガー計算機で年中計算をしていたのだが、どう考えても毎日毎日計算機を回しているのはバカらしくて、当時アメリカ空軍のジェットエンジンのオーバーホールをしていて、川崎航空機にはその時代にIBM室があったので、IBMでの減価償却の機械化を入社1年目の秋ぐらいからスタートさせたのである。
これは先輩方も誰も経験のない仕事だったから、2年ほど掛かったが初めての民需部門のIBM機械化で、同じやるならと神戸本社も岐阜の財産課も巻き込んで全社統一のIBM化が完成したのである。日本にIBMが入ってくるのは東京オリンピック以降だから世の中より10年ほど進んでいたのである。
これが完成したら財産課に計算をする人間など不要になって、私は新しくスタートした単車営業に昭和36年末に異動になり、二輪事業との出逢いとなるのだが、これも新しい事業で単車の営業部門が独立してできたと同時の異動だったのである。
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★ 42年間の現役生活の中で数えてみたら14回異動しているので一つの部署は短かったが、その殆どが新しい仕事でややこしくムツカシイ話や、前例のない新しいことばかりで、『古谷にやらしておけば何とかする』とでも思っておられたのだと思う。自分自身もそれを楽しんでいた節がある。
そんな会社生活の中で一貫して私がとってきた信条は、川崎航空機の社是「正直・誠実・勤勉」であったし執務態度は「信頼・互譲・協力」なのである。
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そして私自身の仕事の展開の基本はこんなことだったのかなと思っている。
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● 差別化
『差別化』はマーケッテング用語だが、差別化できているから新鮮なのである。業界の常識などが一番ダメなのである。
● 実現
物事『実現してなんぼ』なのである。やろうと思ったことは殆ど『実現』した。実現しなかったことと言えば、最後に手掛けた関東のサーキットプロジェクト『松井田プロジェクト』だけである。『定年時間切れ』でもう1年もあったら多分実現していたと思う。川崎重工業の経営会議の許可までは下りていたのである。
● 物事は半年単位で
仕事の一つの区切りは常に半年で考えてきた。半年で出来ないことが10年経ったらできる保証などないのである。42年間で14回も異動しているがすべて形をつけての異動だったと思う。3年計画や5年計画などこの変化の速い世の中で3年経ったら、世の中が変わってしまっているのである。
● 基本コンセプト
数値目標などいくら大きくても大したものではない。『基本コンセプト』は方針や戦略などよりは上位の概念なのである。しかるに行政や企業などでも目標や計画はあっても『基本コンセプト』が確りしていない。どうも日本人は『基本コンセプト』が苦手なようである。
● 仕組みの創造
私の40年間の会社での仕事は『仕組みの創造』の連続であったと言っていい。大体二輪事業は4輪と違ってセールスが売り歩くのではなくて販売網という『ネットワーク』という仕組みを創って自然に売れる「仕組み販売」なのである。
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★90年代になって服部吉伸先生に出会って、それまで私が思っていたこと、やっていたことを正確に表現して頂いた文章に出会ったのである。
それは『これからの流通業』服部吉伸著 の中に書かれていた。
曰く
流通業とは自分の仮説の正当性を問うビジネスである。消費者の変化の本質を掴み、変化をどう自己の対策に置き換えるかと言うことが問われている。
仕組みを造るのは、非常に高度な仕事である。仕組みを造らずに放たらかしの形にして、創意工夫してやりなさいというのは酷である。損なやり方である。システムとは手続き通りに仕事を進めてゆけば、意図した目的が実現できる仕組みでなければならない。現在のシステムは単なるデーターのアウトプット体系に過ぎない。何が企業を変革するのか。それは企業コンセプトである。企業コンセプトを見直し再提起しなければ第二次創業とはならない。従って企業コンセプトは方針戦略より上位の概念である。意識改革のできるのは、一部の極めて優秀な人に限られ指導者の能力の一つである。意識改革を行えと言うだけでは、マジョリテイに対する意識改革は出来ない。マジョリテイに対する意識改革、それは仕事のやり方を変化させることである。そして成功が意識改革の元である。通用する発想とは正しく現状を捉え説得力があり、やがて多くの人の賛同を得られる考え方を指している。ここでやがてという言葉を使っているのは、正しい考え方が最初から多数派である筈がないからである。リストラの基本の部分に人の尊重という考え方がなければそこに働く人の心を動かし大きな改革を成し遂げることは出来ないと断言しておこう。
『世の中には原因のある問題と原因のない問題の二つがある。原因のある問題は、原因の追究、把握、対策と言う思考ステップで課題を解決する。原因のある問題の解決に必要な能力は創造力と呼ばない。創造力の源泉はアイデアであり思考ステップの特徴は「絞り込んで考え続けるというところにある。』
流通業には常識のウソが多い。これからの小売業、如何に組織が大きくても如何に図体が大きくても、お店を幾つもっても、すべからく専門店でなければならない。既に小売店の変化の方向は明確になっているのだ。
顧客の組織化にはデーターベースを活用した新しいマーケッテングを展開することが重要である。データーベースを構築するにあたってはどのようなマーケッテングを展開したいかねい核になっていないと前に進まない。自分のしたいことを明確にする必要がある。
卸売業に物流とはシステムであるという認識が希薄である。物流問題は企業として解決すべきものであり、企業規模の大小ではなくトップの先見性と経営の熱意によってきまるのである。物流のシステム化の克服が多くの卸売業の将来を左右するだろう。
企業の文化が問われている。そしてどのような思想、考え方、価値観を持った企業なのかが問われている。『うちは慈善事業をやっているのではない』と言えば、そのような企業でしかないということだ。『利益に文化の香りがする』そんな企業になって貰いたい。
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もう20年以上も前の言葉なのだが、現在のの流通業のTOP の方に贈りたい言葉の数々である。
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★40年間のサラリマン生活で30代からはずっと『経営次元』でモノを考えねばならない立場が続いた。『何をやりたい』とは常に思ったが、子供の頃から『何になりたい』と思ったことは一度もない。
すべて上手く行ったが、常に周囲には援けてくれる優秀なスタッフがいて、実務はみんな周囲がやってくれた。私はいろんなことを組み合わせて「ネットワーク」を創り「ヨコ展開」で、物事を考えただけである。
常に末端の社会を見て、物事を考えた。
バイクもジェットスキーも、社会の中の公道・公海を走り、一般の世間の方の目に触れる商品なのである。
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Kawasaki . Let the good times roll !
?Kawasaki に出会う人たち がハッピーになるような活動を Kawasaki は展開し続けます。
それはカワサキの従業員も、販売店も、バイクや二輪のユーザーも、レースなどイベントの集まる人たち街ゆく?一般の方々もカワサキに出会う人たちが全てGood Time であるような活動を展開するという『コンセプト』なのである。
そんな『基本コンセプト』を追っかけ続けた40年だったのである。
現役のころ追っかけ続けたこんな夢を、現役を卒業したいまも、追っかけ続けているのである。
「私」に出会う人たちが、Good Time になればいいな と思っているのである。
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