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葵から菊へ
萬世一系と皇室の肉體的衰弱および閨閥「天皇の研究」田中惣五郎著
2016年10月18日
テーマ:テーマ無し
「生前退位 有識者会議 来春の提言目指し検討本格化へ」と報道されていますが、「従来からの検討課題とされてきた女性・女系天皇については、聴取の項目には盛り込まれず、有識者会議では検討されないことになりました。」そうですが、天皇家と皇族の実態を考えたならば「女性・女系天皇」を議論しないのは不思議と言わざるを得ません。
先日、古書店で入手した河出書房昭和26年(1951)発刊・田中惣五郎著「天皇の研究」に、皇室と雖も男系を続けるために皇后以外の女性について研究していますので、一部を抜粋します。
三 萬世一系と皇室の肉體的衰弱および閨閥
皇宝が、雲上的上層的生括をつづけるところから来る肉體の衰退ということは、幕末から近代的な時代だけについて見ても、いろいろ論議され、明治天皇のためにその側近が多くの配慮をもちいたことも周知の事実である。それにもかかわらず明治天皇の大いなるエラーは大正天皇であつた事実にみて、これもーつの天皇の研究として筆を用いておくべきであろうと考えられる。安政四年(一八五七年)に、朝廷から御附武家都築駿河守への内定の形でしたためられた「禁裏女房一件」という書類には
「禁裏女房当時の定員は、およそ大抵典侍(上?)五人、掌侍(中?)四人、命婦、女蔵人(下?)六人と相成りこれあり候。時宜により別段の釋を以て上?六人までは召しおかれ候。即ち當時六人に候。右上?の内、寝御に当り候は人體、時により年齢時をすぎ候人多く相成り候節は其任に當り申さず、元来寝御に當り候は上?の品に侯へども、偶ま中?の人も御寵伴を蒙り候。上?典侍に其の器量これなく侯へば自然右の次第に及び候。彼是にて侍御の人乏しく候とも、其定員滿ち候上は加増召しおかるる儀相成り難く、年老の入隠居にても願出で候へば、新規召出されも相成り候へば、さ候とて長年勤仕、奥向御取締にも相成り候人々を故なく隠居等仰せつけられ候儀は、わけて如何の儀にこれあり、申すまでなく皇統連綿たる事實に國家第一に仰ぎ尊とみ候事、然るに其の本源の處に於て其道廣まらざる筋これあり候はゞ、人々窺び知らざる所にて、皇胤御手薄にては此上なき御大事に候。
(略)
皇子製造者としての女官の人間的立場はここでは論ずることはやめる。ここでは、女官を多くし、その手當を十分にするよう幕府に要請することに重點があつたと見るべきであろう。それにしても、宮中の後宮の生活(天皇の生活の大部分を占める)がこの一文によつて片鱗をうかがうことが出来る。萬世一系のため、その本源としてのよき婦女子の選定。そのための生活の安定。嘉永六年(一八五三年)三月當時の大奥について、儒者大澤雅五郎が「古は天子に三夫人、九嬪、二十七世婦、八十一御妻相備り」「今萬乘の尊を以て御閨門の問、恐れながら匹夫に均しき御姿にては實に勿體なき御事」として、常時の女官の人々書きあげて居る(略)
傍線は(傍點著者)の部分
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