西武安比奈線　その２

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「こやんぴ」のぶらりお散歩ブログ

2013年06月07日ナビトモブログ記事
テーマ：川越周辺の鉄道、ないしょ話

「その１」の冒頭で、西武安比奈線は有名だと書きました。

乗客がいっぱい押し寄せる人気路線、というわけではなく、「廃線」歩きが大好きな鉄道ファンに有名だったのと、NHKの連続ドラマ「つばさ」で、この路線の一部が使用されたことで、話題になった程度の有名さです。たいしたことはありません。

「つばさ」は、地元民として、ものすごく期待しました。
重厚な蔵造のヤマワさんが舞台になっているし、未華子ちゃんにも大きな仕事が来たし。

川越市民は、まるで、テレビ創世記のプロレス中継を息をのんで観戦するように、わくわくしながら、テレビの前に集まったものです。

「あ、俺んちの前がうつったぁ。」
「入間川の河原にあんな花、咲いてねえよなぁ。造花だぜ、ありゃあ。」

初期の期待が大きかっただけに、私は、がっかりしてしまいました。朝から、「寺内貫太郎一家」をさらにハチャメチャにしたストーリー展開はないよなあ・・・

そんなわけで、我が家では、「つばさ」が、NHK連ドラ史上最低の作品候補に堂々エントリーされています。後藤高久さん、西谷真一さん、あれじゃあ主演の多部未華子ちゃんと川越市民がかわいそうだろうが、ぷんぷん。

あれ、何の話でしたっけ？

ええと、西武安比奈線は、入間川の川砂利採取が目的だったのに、砂利採取が禁止になってしまったんでした。

旅客営業はしていませんので、不要路線となりました。

当然、廃止だと思いますよね。

ところがどっこい、西武鉄道さん、何を考えているのか、列車が走らなくなった安比奈線を廃止しませんでした。レールもぼろぼろ、橋梁が朽ち果てた箇所すらある安比奈線は、法律上、ぴんぴんしている現役の鉄道ということになっています。

とっくに亡くなっている親がぴんぴんしていると偽り、死亡届を出さずに年金を着服していたら詐欺になってしまいます。
ぴんぴんとはしていない点では同じ安比奈線ですが、国土交通省
から年金は支払われているという話は聞いていません（当たり前です。）。

鉄道事業法上は、ぎりぎりセーフなのかも。
そうは言っても、国土交通省は苦々しく思っているんだろうなあ、きっと。

一時期、西武新宿線の都内区間を大深度地下鉄方式で複々線化する計画があり、西武安比奈線の終点付近を車両基地とする構想が持ち上がりました。

もし、廃止していたら、たとえ同じルートであっても、新規の鉄道扱いとなり、道路との交差協議で建設費のかかる立体交差を要求されるなど、なにかと不利な立場に立たされることになります。

ところが、「生きている鉄道」だったら、平面交差のままでもいけるかも。地域住民対策だって簡略化できるかも。

・・・さすが、西武鉄道。深慮遠謀。

しかしながら、旅客の伸びの鈍化などにより、多額の投資が必要となる複々線化が実現することはありませんでした。安比奈線も再デビューを果たすことができずに、今も眠ったままです。

一時代前は、鉄道ファンが線路敷地を歩き回り、傍若無人の振る舞いもあったようです。

今は、ほとんどの場所が、西武鉄道によりがっちりガードされていて、立ち入ることはできません。

左の写真のように、線路端のお宅の花壇と化している場所があったりはします。これはこれで、ちょっとうらやましい光景。鉄道線路上がマーケットになる東南アジア的テイストも、と言ったら叱られるかな。

「線路内立入禁止」の看板に黄色いペンキを塗りたくったのは、線路内に立ち入れないことへの腹いせか？　こんな悪さをする人間には、鉄道ファンを名乗る資格はありません。

右の写真は、遊佐未森の歌う「夏草の線路」そのままの光景。このままずっと残ってもらってもいいような気になってしまいます。

夏草に埋もれた線路の向こう側には、どんな未来が待っているのでしょうか。

西武ホールディングスは、アメリカの投資会社から、あれこれ言われているようですが、西武安比奈線のことを知ったら、もっとあれこれ言うんだろうなあ。