寒い冬こそ楽しみたい!心のお薬にはミュージカル映画がオススメ!
掲載日:2021年12月27日

寒い冬こそ楽しみたい!心のお薬にはミュージカル映画がオススメ!

ここ数年、ミュージカル映画ファンが増加しているようです。『ラ・ラ・ランド』(2017)、『グレイテスト・ショーマン』(2017)とヒット作品も多く、現在もブロードウェイの青春ミュージカルを映画化した『ディア・エヴァン・ハンセン』が公開中ですし、2月11日からは同じくブロードウェイ・ミュージカルをスティーヴン・スピルバーグが再映画化した『ウエスト・サイド・ストーリー』が公開されます。

いつでもその時代を反映するミュージカルが生み出されるわけですが、ヒットするかどうかは作品次第。でも、なんとなく直視したくない現実があるとき、ミュージカル映画は精神的逃避の場としてとてもプラスに働くように思います。もしかするとミュージカル映画の流行には、そんなことも少し加担しているのかもしれませんね。

いずれにしてもミュージカル映画にはふさいだ気持ちを晴らす効果があるように思います。もし心が晴れないのなら、こんな作品を観るのはいかがでしょうか?

◆ウエスト・サイド・ストーリー<公開日:2022年2月11日>公式サイトはこちら
スティーブン・スピルバーグ監督が、「ロミオとジュリエット」をモチーフにした<伝説のミュージカル>を念願の映画化。舞台は、対立するグループによって引き裂かれたニューヨークのウエスト・サイド。運命に逆らい、社会の分断を乗り越えようとした“禁断の愛”の物語が、エンターテイメント史に残る数々の名曲とダイナミックなダンスと共に描かれる。
寒い冬こそ楽しみたい!心のお薬にはミュージカル映画がオススメ!

ひたすら美しい曲とダンスに癒されたい 『コンチネンタル』(1934)

アステア・ロジャーズのコンビ名で知られる、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズの全盛期の作品。有名なスタンダードナンバー「夜も昼も(ナイト&デイ)」は、本作の原作となったブロードウェイ・ミュージカル「陽気な離婚」(1932)のために、コール・ポーターが作詞・作曲したものです。



地質学者の夫に虐待され、離婚を画策するミミ(ロジャース)と、ミミに一目ぼれしたダンサーのガイ(アステア)が、ミミの離婚を成立させ、恋を成就させるまでを描く物語。見どころはもちろん流れるように踊る2人のダンスですが、特筆したいのは多くの映画人を魅了したとてもキュートなこのシーンです。

それは離婚作戦遂行中で部屋を出ることを禁止された2人の恋心が高まり、どうしても外に出かけたくなったときのこと。紙を切り抜いて作った男女をレコードのターンテーブルに挟み、影絵の要領で踊っているように見せるというもの。ミステリー作品などでもたまに使われる演出ですね。見かけたら「出典はあの映画ね」と思っていただけるよう、ぜひ『コンチネンタル』、ご覧いただきたい。

凄いのはダンスや歌だけじゃな!今の時代にぴったりな物語 『雨に唄えば』(1952)

フレッド・アステアを紹介したなら、ジーン・ケリーも! 『雨に唄えば』は、ジーン・ケリーとスタンリー・ドーネンが共同で監督した傑作ミュージカルです。

映画界がサイレントからトーキーに変わる時代のハリウッド。スター男優ドン(ジーン・ケリー)は、ボードヴィル時代からの親友コズモ(ドナルド・オコナー)や、恋をした駆け出しの女優キャシー(デビー・レイノルズ)とともに、大失敗となった主演映画をミュージカルとして再生させようと試みます。

映画の失敗を回避する方法を朝まで話し合ったドン、コズモ、キャリーが踊る「グッド・モーニング」はめちゃめちゃに楽しく、キャリーを家まで送ったドンが帰りはタクシーを帰して雨に濡れながら恋する嬉しさを噛みしめる表題曲「雨に唄えば」にはドキドキさせられ、それらを演じる最高のミュージカルスター、ジーン・ケリー、ドナルド・オコナー、デビー・レイノルズが、スタジオの中で映画の撮影方法を披露する形で踊るシーンには、映画への愛が感じられてキュンとさせられます。

スターでありながら浮足立たないドンと、コズモの友情。最悪な出会いをしたドンの出演作だと気づき、掴んだチャンスを正直に手放そうとするキャシー。そんな誠実でおごらない魂を持つ人々の物語は、なんとなく今の時代だからこそ余計にフィットするような気がします。

日本の文化をミュージカルに乗せて 『舞妓はレディ』(2014)

今だからこそという意味では、ぜひもう一度ちゃんと観ていただきたい周防正行監督の『舞妓はレディ』。

タイトルに聞き覚えがあるように、ジョージ・キューカー監督、オードリー・ヘップバーン主演『マイ・フェア・レディ』(1964)にオマージュを捧げつつ撮った作品です。

舞妓になりたいと京都の老舗茶屋に突然訪ねてきた、鹿児島弁と津軽弁のバイリンガルの少女、春子(上白石萌音)。お茶屋の女将、千春(富司純子)は即座に断りますが、そのきつい訛りゆえ絶対に舞妓になれないと断言する呉服屋の旦那(岸部一徳)と、言語学者(長谷川博己)が賭けをしたことで、春子はお茶屋で働くことになります。

いまや連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の主演として、『君の名は。』(2016)の声優として、舞台俳優として、歌手として大活躍の上白石萌音ですが、春子を演じたときは15歳。錚々たる名優たちの真ん中に立って初主演の大役をやり遂げたことに驚きを感じます。

当時は無名の少女だった上白石萌音が、いくつもの主演をこなす演技派へと成長を遂げた物語は、まさに『マイ・フェア・レディ』。彼女の芸能活動初期のキャリアを知ることができるとともに、周防正行監督が描こうとした芸妓、舞妓が担う日本独特の文化、そしてそんな花街文化が現在どのように変わろうとしているかなど、様々な観点から楽しむことができるミュージカル映画。

富司純子の『緋牡丹博徒』シリーズを彷彿とさせるシーンや、元々ミュージシャンである岸部一徳が歌うシーンなどもお見逃しなく。

関口裕子 プロフィール

「キネマ旬報」、エンタテインメント業界紙VARIETYの日本版「バラエティ・ジャパン」編集長を経て、フリーランスに。執筆、編集、コンサルタントとして活動中。趣味は、歴史散歩。

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