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読書日記
『老化は治療できるか?』 読書日記330
2024年02月08日
テーマ:読書日記
河合香織『老化は治療できるか?』文春新書
この疑問形の題名は刺激的である。自分ではそうは思っていないが、世間的には高齢者に分類され、あと2年余りでそれが後期高齢者に格上げされる私にとっては、であるけれど。
表紙扉裏の内容案内にはこう書いてある。
今、世界中のIT長者たちが老化制御ビジネスに巨額の資金を投入している。はたして不老不死は可能なのか。人は何歳まで生きられるのか、若返りを可能にする究極の物質はあるのか?---アンチエイジング研究の最前線を追う。
目次では
はじめに 最先端科学が解明する老化の謎
第一章 ヒトは何歳まで生きられるのか?
第二章 不老不死の生物の謎
第三章 究極の「若返り物質」を求めて
第四章 問題は「脳」にある
第五章 科学が解明した「長寿の生活習慣」
第六章 「長すぎる老後」をどう生きるか?
おわりに 進化に抗う人類の未来
ということになるが、この本では現在時点の研究の紹介がほとんどである。この本を読んで不老長寿を望むか、その期待を持てるか、それは人それぞれであろうけれども、一番の問題は題名の「老化は治療できるか?」という問いに対して私の持つ違和感に集約されるものであろう。
そもそも「治療できる」というのは「老化」もまた病気の一種であって「決して自然現象ではない」という立場の表明である。この本の中でも出ている論点の一つが、そう定義できた時、「老化治療」は健康保険の対象になるのであろうか?というものである。もし、老化が病気であり治療できる様になれば人は不死となり、人口が減ることは無くなるだろう。
逆に老化が避けられぬものであり、人間の寿命に一定の上限があるとすれば、金を貯めるにしても一定の額に達したところで使う方に転じる方が有益で楽しいであろう(あ、本書とは関係無いことであるが、長生きしたらするだけ特になる仕組みであるトンチン保険またはトンチン年金の欠陥が示されたとも言えるかもしれない。つまり大金を得たときには自らの寿命もまた近いならばこの保険に掛け金を払う必要はあるのか)。
(2024年1月25日読了)
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