読書日記

『崖っぷち芸人、会社を救う』 読書日記201  

2023年05月21日 ナビトモブログ記事
テーマ:読書日記

安藤祐介『崖っぷち芸人、会社を救う』中公文庫

最近文庫化されたばかりの本らしく書店の棚で見つけて買ってみた。どうやら宣伝分の通り、『夢は捨てたと言わないで』という本の改題文庫本らしい。私にはまったく初めての作家であり、その著作であったから関係無い様なものだが、この文庫化するに当たっての改題本は要注意。というのは、もともとの単行本がさほど売れなかったものを改めて新刊本と誤解させての起死回生を狙っているという出版側の隠された意図が次第に分かってきたから・・

広告文によると
スーパー・エブリの社員樫村栄治に与えられた指令。それはバイトのお笑い芸人たちで「実業団」を結成し、ブレイクさせること!? 初めはやる気ゼロだった栄治も、お客さんの笑顔を見て次第に心が動く。そんな最中、エブリ上層部に会社乗っ取りの動きが。経営存続の危機は芸人たちの手に託された!『夢は捨てたと言わないで』を改題

さて、お笑い実業団とは何か。それはスポーツにおける実業団と同じように会社に所属しながらスポーツ(ここではお笑い)に特化して活動する、雇う側からすれば活動させて自社の宣伝などに使うというものだ。

マネジメントを託される樫村栄治は元甲子園球児であり、一時は関西の球団に属していた。が、芽が出ず契約を打ち切られ代わりに球団から斡旋された会社が吉祥寺に本店を持つ小規模なスーパーマーケット会社「エブリ」である。それが創業4代目「うつけ」社長の思いつきによって、いきなり「お笑い実業団」のマネジメントを委される。というのはエブリには多くの売れないお笑い芸人たちがパート・アルバイトとして働いていたから。

実業団としての雇用条件は以下の通り。
給料は準社員待遇(月給20万円、社会保険完備)
勤務:8時〜17時または13時〜22時のシフト制
勤務内容:売り場での通常勤務、催事スペースでのライブ出演など
休暇:週休2日制、オーディション休暇あり
環境:放送作家(元エブリのバイト、作中では割と有名人)からのオーディション情報等の提供有
外のライブやテレビ出演でのギャラ配分は本人9割、エプリ1割
その他:現在の所属事務所とは契約の解除をすること

この条件は客観的に見れば異常な好待遇だと私は思う。そして、この条件にひかれて実業団に入ったのは、「ロック春山」という一発屋芸人、「フリーターズ」という女性漫才コンビの五十嵐笑梨と百瀬真理、「ピカソーメン」という芸大中退のピン芸人、それと、「のらえもん」という二人組のうちの一人でえもやん、その相方の野良猫市(性格は横山やすしのイメージ)は実業団に属さずライブ出演だけの専属契約。という4組で5人+0.5人。

さて、この実業団がどうなるかは広告文の通りだけど、「会社を救う」と言うにはちょっとつらいかもしれない。

で、どうやら著者の既刊本を見ると、一種のサラリーマン小説か業界話が主の様だ。図書館の蔵書を検索したら『本のエンドロール』という本づくりの世界を描いたものがあったので予約した。
(2023年5月6日読了)



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